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宮沢けいすけ KEISUKE MIYAZAWA

2014年2月22日

政策特急「第2話  文化財は次世代の産業となり得るか」

-文化財が産業の4番目の地位を占めるまでになったイギリス―

背景)最近、安いものを大量生産し消費する浪費型経済体質である「消費量を豊かさの象徴とする時代」から、歴史や文化的に価値あるモノを創り、保全・活用型経済体質「心の豊かさを実感できる時代」へと日本の地方のあり方も変えてゆく必要があると実感している。
そのような中、デービッド・アトキンソンさん(英国貴族で小西美術工藝舎会長兼社長、元ゴールドマンサックスアナリスト)は、イギリスがここ30年で国が文化財を重視する方針に転換し、文化財を修理する産業が生まれ、文化財に関する産業が4番目の産業の地位を占めるまでになった、まさに「文化財は産業」である」と述べられたことに興味をもった。

1) イギリスの文化財投資政策
イギリスは、産業革命の時期から1950年代あたりまで世界の産業製品のマーケットシェアがピークで50%あった。1900年がそのピークで、そこからずっと下がっている。その後、今の日本と同じようにポンド高、産業の飽和で景気が悪化。失業率も13%となった。そのイギリスで今から30~40年前にサッチャー政権は、若者を雇って、国会議事堂を修復することになる。
予想外に、きれいになった国会には観光客が増えて、入場料収入が増加、失業者も減って、治安もよくなったのだった。

その成功をきっかけに、隣のウェストミンスター寺院やセント・ポール大聖堂も修繕、イギリスの全国の文化財に対して徹底的に投資をすることになったのである。
これはポンド高からはじまった偶然の政策とも言える。

2)イギリスにおける文化財修復の経済効果
 文化財に対して投資したイギリスの直接的な経済効果は、日本円に換算すると1兆7000億円。間接的な経済効果まで入れると、2兆8840億円となる。全体で見ると、イギリス経済の2.7%を占める。また、観光の90%は文化財をどこかで見るという調査結果があるので、観光業界まで含めるとイギリス経済の9.1%を占めることになる。観光客が使うお金の36%が文化財に直接入り、64%がまわりの施設であるホテルやレストラン、カフェなどに入る。文化財にかかわる人々の数を見ていくと、修理を行う職人や管理者などが46万4000人。それ以外の関係者や観光にかかわる人々もいれると265万人になり、イギリスの労働者の約12%を占める。

3)日本の文化財の現状と投資の必要性
 そこで、改めて日本の文化財を見てみるとかなり問題が多い。ボロボロであることは間違いない。職人文化がいまだに生きていることは良いことだと思うが、十分な予算が出ているとは思えない。一方で、それを増やす努力もほとんどしていない。また、観光に対する意識も低く、サービス精神がほぼゼロであると感じる。日本では文化財を見に行くと、入口で拝観料を取って、写真を一枚撮って帰るだけだ。その場所にいる時間は1時間もないし、十分な説明もない。イギリスは生涯学習で有名な国だが、文化財を訪問することはイギリス人にとって生涯学習のひとつ。楽しみとして勉強に行くわけだ。
訪れた先では文化財には専門家がいて、あらゆる質問に答えてくれる。イベントも定期的に行い、普段は入れないようなところにも入れる。人を楽しませるというのが基本となる。
 昔は、イギリスでも専門家の力が強すぎて、そういうことができなかったが、人が訪れることによってお金が入り、悪くなった部分をまた直すことができる循環型の仕組みができた。

4)日本の観光の現状
 10年前の日本から海外への観光客は700万人、震災後、平成25年の今年になり、やっと1,000万人を回復したが、この数字は誇れるものではない。人口500万人のシンガポールで年間1400万を誘客し、タイや中国にも劣り、日本はアジア圏内で外国からの観光客が訪れる数としては第10位。フランスは先の述べた8000万人、アメリカは6000万人、中国は5500万人、日本は世界第3位の経済大国と云われながらも世界では33番目。

一方で円を持って外国に渡航する日本人は1500万人に登る。
第1話のエネルギー費用の流出同様、海外に私たちの労働賃金が流出しているのである。

 今後、日本政府は2020年のオリンピックを契機に2020年には2000万人、2030年には3,000万人と目標設定をしているが、何せ「文化財を産業と捉えたイギリス」でデイビッド・アトキンソン氏の言われるように観光資源の活用・保全に注力して来なかった現状からも課題は多い。
 また、観光について言えば観光として人が訪れる要素に、1にヒストリー、歴史、2にアクションで物語、3にリズムアンドテイスト、4にガールアンドギャンブル、5にサイトシーング、観光地。歴史、物語こそ最大の観光資源である。日本にとって未開発の産業が観光産業であり、活かせる歴史資源は多く存在する。
 

5)静岡市で出来ること
① 地域資源を観光資源として磨きあげる
京都に行って何を見るか、答えは神社や仏閣、庭園、歴史上の
跡地、それに付随する自然等ではないでしょうか。静岡市にも由緒あるお寺は多々存在する。
一例として2代将軍、徳川秀忠の生母西郷局がこの寺に葬られて徳川慶喜公もおられた宝台院の宝物殿には数々のお宝がある。
宝台院から久能山東照宮と羽衣までの社寺を繋ぐ「久能羽衣の道」などを繋げ命名したり、日本の国際外交が開かれた大御所時代の駿府のストーリーを見直すなど、ストーリーを持たせ観光に繋げる。
書くときりがないのでまた個別に事例は記載します。

② 次に実際に磨きあげること
茶釜、羽織、家康公の遺品ですら痛みがあるそうです。また、数百年という歳月が経過した歴史的な価値を持つ仏像が市内では盗難に遭う事も。
イギリスのように観光資源として投資をし、手を入れる職人が産業となり、来場者に説明する学芸員等の雇用、生涯学習として満足を得て賃金を支払うイギリスを例に文化・観光の仕組みの見直しが必要です。

③ 歴史資源の再建
最後には駿府城の再建ではないでしょうか。
決して血税を大量導入して建設するつもりはありません。
静岡市には「駿府城等駿府公園再整備基金」が20年前に議会で
条例制定されており、企業や個人はその基金にお金を支払った場合に
損金扱い(税控除として使用可)となる基金が既に制定されております。
だから、極端に云えば、税金を使わずに再建は可能です。

歴史は作るものです。
1360年を経過する法隆寺も3、400年に一度大規模修繕を加えます。
躯体がそのままのモノは久能山東照宮ぐらいでしょう。

300年先に残る木造建築で駿府城を市民の手で作りあげる。
それもスペインのサクラダ・ファミリアのように時間をかけて建築の
様子も観光資源として活用すればいいのです。
世界で唯一、260年余の天下太平の世を築いた家康公の城を
静岡市民と世界の平和のシンボルとして着工したいと考えている。
 

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