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宮沢けいすけ KEISUKE MIYAZAWA

2014年5月5日

「貿易と人の欲と政府」

「貿易と人の欲と政府」

 

現在TTP協議で各種の関税議論がなされている。

豚肉の関税は482円から50円まで引き下げる方針、牛肉については豪州とのFTA協議で取り決められた38.5%から20%以下まで引き下げるように決定した。

アメリカは自動車の関税撤廃について、米と小麦を棚上げする代わりに撤廃の議論があるが、問題は現在の輸入台数よりも多い台数を輸入しなければ実質関税を課すと云うもの。

ここでは、関税の問題を議論するのではない。

関税について、ひとつ云うなら、撤廃した後、その業態がかわいそうだからという理由で国は補助金を撒くことは辞めるべきだ。市場の競争を失ったものを税金で補てんすることはより、そのマーケットを疲弊させ、税金を無駄につかう。

 

さておき、グローバルな取引について注目してみる。

アダム・スミスの富国論で、政治は介入しない方が市場経済は上手くゆく。なるべく関わらない方がいい」という経済理論でここ最近まで、各国で貿易(帝国主義時代から強者の搾取はある)が進められてきた。

たしかに、コーヒーを2杯持っているひとと、パンを2つ持っている人がいて、交換すればより満足は得られる。しかし、グローバル化された交換においては「取引費用」(取引上のリスク)が発生し、それが補完されなければ実行されないという考えである。

 これまでの経済学では政治の介入はしない事が良しとされた。TTPも現存完全自由化すればいいのだが、この国の関与が重要であった。

 

 前ハーバード大学が教授のダニ・ロドリックによれば「ごくわずかな例外を除いて、経済が発展した国ほど、公的部門が消費するリソースの割合が大きい。政府が大きくて強いのは貧しい国ではなく、先進国の方なのだ。政府の規模と一人当たりの所得の相関関係は際立って強い・貧しい国と比較すると、豊かな国はより機能する市場とより大きな政府を持っている。(中略)市場と政府は補完的であり、過度に単純化された経済学の説明にあるような、充足的な関係にない」と著書で述べている。

 

何が言いたいか、これまでは世界企業を拘束する制度も、それを処罰する司法もなかった。

ネット上での取引など最たるものだ。ネットには国がない。

資源も取りつくしたモノが勝者となる。しかし、それで本当に豊かな貿易ができるのだろうか。世界を取り巻く環境は急激に変化をむかえている。

その上で、国の政治の重要性と、戦勝国クラブのような常任理事国ではなく、世界規模での司法機関が必要である。司法=警察権力=力だとすれば、それも難しくなる。

 

人類が滅びる時は己の欲に滅ぼされる時だろう。

その意味で、経済学が人の欲求を原動力に市場に任せる事の恐さも理解できるのではないか。

 

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