宮沢けいすけ KEISUKE MIYAZAWA
2014年2月14日
―水道局庁舎建設34億円から59億円に至る議案に対する質疑―
静岡市議会報告
―水道局庁舎建設34億円から59億円に至る議案に対する質疑―
2月14日の補正予算審議にて新聞でも取り上げられている
水道局庁舎建設について議案質疑(質問)を議定で行いました。
水道局庁舎建設とは、駿河区宮竹に建設する予定で用地を取得、
その後、七間町の賑わい創出と清水庁舎への震災等の問題、有事の際
に市庁舎との距離が近い事を理由に、平成23年9月議会に土地購
入の議案を上程。賛成多数で可決されました。
平成25年2月議会、ちょうど一年前に庁舎建設に土地代金を含め、
50億円以内、水道事業には負担をかけないように民間団体に余剰
スペースを貸出して支出を賄う旨の説明があり、建設費予算33億円
が可決されたのでした。
僅か1年で建設費が59億円に跳ね上がって補正予算が上程された
ことが今回の議案です。
多くの議員が違和感を持っている本議案に対して、質疑を行いました。
ポイントとしては5点、経緯、賃借、設計、耐震、価格にわけて2人
目の質問だったので項目を絞っての質問を行いました。
要点)
①経緯について
本来であれば基本設計が終わった段階で予算を議会に上程するのが一般的で防災施設として必要だった、鈴木学園の入居希望があったからと説明はされたが、基本構想の段階で議会に上程することが間違いだった。議決の軽視ではないかと感じさせてしまう。
②賃借について
庁舎建設の経費について「水道料金に迷惑をかけない。ついては耐用年数以内で民間事業者から回収するという点は変わっていない」という説明に対して、対応年数の38年は建設費が33億でも59億でも変わらない話である。そして、賃料の交渉は33億円予算の際に坪単価4200円で交渉しており、安くすることはあっても上げることはないとする答弁であった。また、一方で周辺の賃料は8000円から1万円と水道局が周囲に比べて半額で特定企業に貸し出すことに他の事業者から見た際の整合性がどのようにあるかが課題として残る。
賃借については、耐用年数というお尻が決まっていながら建設費の総額
は上がったが、テナント料は上げられない、一方で負担は賃料で賄うと
いう苦しい説明であった。
③設計について
基本構想を行ったパシフィックコンサルタント、基本設計をしたアド設計
について確認をした。
新聞報道では「パシフィックコンサルタントの見積が甘かったのではないか」との指摘があったが、実績で言えばパシフィックコンサルタントは最近では清水区の桜ヶ丘高校の設計も請け負っている。
一方で、アド設計の静岡市での実績は3件、合計でも1,000万円の設計で、今回の1億円規模の設計が実績はない中でなぜ、請け負うことが出来たのか。そもそも、設計による建設費の倍近くの増額はどこに責任
があったのかが議論となった。
④ 耐震性能について
建設費33億円に対して、耐震対策費用の増加額が9億円である。本来33億円の建設費には公共建築物に対する建築基準法が適応されており、その上で33億円の建設工事費が積算されている。
そもそも含めれている現基準の対策に上乗せしての9億円、30%の増
加とは何なのか。
その説明で「静岡県の震災想定である第3次被害想定から県が南海トラフ巨大地震を含む第4次被害想定になったので対応をした」とあったが、静岡市内では県が公表した時点では、公共建築物の耐震基準に変更はなかった。
また、静岡市内でも一部では震度や加速度が縮小するとの想定された箇所もあって、この3次想定から4次想定の段階で上下水道局内で何が変わったのかも納得できる説明がされなかった。
新聞報道でもある、南海トラフ巨大地震への対応という説明では通らない。
⑤価格の妥当性について
県の外郭団体であるNPO法人静岡県建築物安全確保支援協会等に価格について調査依頼し確認を取ったとされる。が、これまでの変更ですんなりと納得ができにくい状況に変わりはない。
結論として、これまでの説明で多くの議員が本議案について疑問・違和感を持っていることは間違いない。個別でおかしいと声をあげる議員も居る。次の2月21日の2月定例会本会の議決ではおかしいことをおかしいと云える議員がどの程度いるのか、関心を持って注目したい。
(関連記事)
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20140116/CK2014011602000098.html
静岡新聞
http://www.at-s.com/news/detail/911081046.html
建通新聞
http://www.kensetsunews.com/?p=4510