宮沢けいすけ KEISUKE MIYAZAWA
2011年9月4日
VISIONs研修報告 2:【ジビエで光る地域の宝】
藤木徳彦(「オーベルジュ・エスポワール」オーナーシェフ)
http://www.wide-suwa.com/espoir/
(講演メモ)
ジビエとは、山の恵み。
猟期が始まってから現地で、地産地消のみで鳥獣を仕入れている
130席の店内、冬場は地のものです。
当初、地元で野菜も買いたかった。
しかし、長野のモノは流通を通じて県外のものがはいる
目の前にあるにも関わらず仕入れられない
やむを得ず外から仕入れた
お客は「こんなものであれば東京で食べられる」と云われた
それから農家を回り出した
農家に行って自分をわかってもらって、心とのつながりを作ることに専念。いままでは安い、高いの判断で業者に持って来いと言っていた
農家も個人では売買しない
そこでも流通は農協が中心であった
だから農家に売ってくれるようにまわった
次に畑をみると
出荷用の畑と農家用の畑が分かれていた
出荷用の畑は農薬とコンクリートの土
農家のおばあちゃんは「これは見た目だけで、毒だよ」といった
いくら地産地消でも毒であればだめ
モンシロチョウが舞い、きれいな健康は野菜は家族のものだと教えられた
今は、季節のモノ
天然きのこ(夏きのこ)、ふつうに仕入れるとkg8000円のきのこを蹴飛ばしていたが今は教えて4000円になった
冬、モノがなくて鉄砲をする事を聞いて、信州ジビエを始めた
長野は貧しかった 野沢菜の根を食べる習慣もある。
冬は特に食べるものがなかった。
また、猟が始まって鳥獣は捕れるが、野生獣肉の流通もない
しかも思い入れが入り、なかなか取れなかった、犬が殺されて、シシ一頭100万となる。
猟師さんとの人間関係をつくるまで、相当なお金を使いました
冬も商売が成り立つようになって2004年、県との仕事をするようになった
長野では冬場アルバイトに行った方が商売になると考えられていた
冬場できるノウハウを教えてほしいとの県からの依頼だった。
一方で、地域みんなのレベル、おもてなし、呼び込みを「おもてなしフードを味わう会」を開催、ジビエ(山はと、しか、保存やさい)をふるまった。フランスではジビエは高級食材だった。
すると保健所からクレームが来た
本来、とさつ場に行かなければならない。とさつ場法は家畜のみに適応
猟師は山でさばき、旅館に売るので無かった。
これも問題で食肉処理法がかかる。いまでもグレーゾーンである
保健所ではもしも危険であれば、ストップをかける地域が多い
保健所から、やまばと、しかを出さないでくれと指示
それを認めると冬のジビエがなくなる
鳥獣被害対策費
昨年度200億の補助金、ほとんどが土木工事である
野生獣を防ぐ堤防を築く、その他の県にゆく、相互に解決にならない
200億円を捨てている
★ 地方自治体の衛生マニュアル 長野県庁で実施
しかも有効活用する為
駆除しろ、保護しろとの市民の声
無駄なく使う、すべてを使うジビエ
使わないのは皮だけである 皮を土にいれると動物がもってゆく
保護した鹿を「今度は駆除をしろ」である。
消費が伸びない、鹿肉に対してジビエとするために
食肉処理場をつくる事が必要であった。
県から、補助金申請をすれば補助金が下りる
山の中は血抜きだけ、降りてきてその他の作業をする
シカ肉 赤身肉、脂身のない肉は強火で調理すると硬くてぱさつく
ほとんどは鹿刺、これもE型肝炎が発生、生では禁止になった
生肉で消費されていた鹿が禁止になれば消費がさらに減る
山では取れるが消費が進まない
調理が出来ない
県との取り組みで、長野県おおしか村(しかが非常に多い地域)
長野県の職員と料理人を集めてレクした
みんなまずいという鹿の料理、リピーターはいないからまずくてもいい」という。おもてなしがないのである。
あんな鹿をうまくできるはずがない。
ヨーロッパは調理の方法が家庭にまで浸透している
どうすればジューシーに料理できるか
ようは強火で焼かない、低温のオーブン、フライパンで調理
おおしか村の人々が目からうろこ
大鹿ジビエとして売り出し、観光客が増えた
ステーキを出して、プラス宿泊費1500円でもとれる、おいしければ取れると指導、はじめは900円であったが、今はお客から安いとなって1500円となった
おおしか歌舞伎と四季折々の食で大鹿村は成功した
成功している地域もあればこじれた所もある
京都のジビエ、初めの調理講習をするために
地元のレストラン、料理学校のせんせいがやってみんな旨くなかった
3度目に藤木が出向いた
商売になる 鳥獣被害は進んでいる
草木を食べて土砂災害にもなっている
たまごだけ、本来は3日しか持たない
ポルチーニだけ みんな蹴飛ばしてしまう 路上の宝石
そんなジビエに貴重なモノも山には多い。
今の燻製は燻液を注入している
1kgが1.3kgになる
本来ならば減る、本来の燻製は違う
当店では、野鳥類、やまばとなどを年間400羽程度利用する
今まで、ウリボウ、ウサギ、いのししはほとんど生き埋めにしている
だけれど一頭4~5万円で東京ではフランスから仕入れている
処理するのに現在、地方行政では5000円支払っている
だからただでもらってくれるだけでいいはず
やましぎ
一羽 9000円 フランスではとれない
長野では5羽まで取っていい
JRでもいのしし弁当が販売される
シカ肉おつまみ
伊勢丹のおせち料理に長野の食材を入れた
48000円のおせちが売れる 地方には宝がある
今、JRをはじめとして国の国土を守るために協力者が増えた
思いのある、ちいきの為として取り組む人が必用
国策であるとして、農林副大臣も支援しているとのことであった
鹿肉調理のコツは
シカ肉は生ではやめる、肉の中心温度が決まっている
63度で30分、これが一番うまくて安全です。
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<静岡市でどのように活かすか>
【ジビエで光る地域の宝】
藤木徳彦(「オーベルジュ・エスポワール」オーナーシェフ)
1:目の前にあるにも関わらず仕入れられない
やむを得ず外から仕入れ、お客は「こんなものであれば東京で食べられ る」と云われた⇒その地元でしか食べられないものを求めている
2:そしてきのこをはじめ、流通経路に乗っていないが貴重な食材が地域に は眠る
3:冬に猟期が始まる、冬の野生獣肉の活用と流通の確保
4:ジビエはフランスの高級食材である。ただ殺すから活用に
(現在生き埋めにしているウリボウはフランスから5万円程度で輸入)
5:法的規制―屠殺場と食肉処理法の問題、保健所からの始動
6:ただ予算をかける有害鳥獣駆除費と土木工事
(消費地が出来れば、ただ、もしくは買い取りが可能、行政支出の削減 になる)
7:これまでの手法を自治体衛生マニュアルとして長野県で作成
8:食肉処理場の建設に対しての補助金
9:大鹿村での成功、地元伝統(歌舞伎)とタイアップ
10:各地で鹿肉を販売、国も国策として支援
静岡市も山間地では鳥獣被害に悩まされている。もちろん原因は山林の荒廃と人工林にあるのだか、一定量の獣を殺しっぱなしでは良くない。
ジビエは山の命を最後まで頂くという理念の下で行われている。もしかしたら「ジビエから鹿やイノシシがなぜ殺されるのか、山や森林は」と意識が向く事も期待したい。
それと、行政が投入する経費の問題でも、市がお金を使わずに循環できる仕組みが必要と考えている私にとって、初期の食肉処理場の補助はあるにせよ、枠組みを作ることへの関心もたかい。
また、鹿やイノシシをおいしく食べてみたいというニーズはある、行ってみたい距離として1時間、静岡市の山間地が限界である。
長野県の事例を元に静岡市でも提案して行きたい