平成26年2月度議会 本会議 個人ん一般質問を終えて
教育と文化観光行政についての2点質問させて頂きました。
ポイントとして、教育では
・ 静岡市のこどもたちのアンケート結果で4人に1人が夢や目標がないとなっている
世界と日本の教育の大きな違いとして、世界的に教育方針の一般概念として
広がっている「teach less, learn more」の理論。
そもそもの根本は「子どもの探究心を呼び起こす教育」か、そうでないか。
今の日本の暗記教育はそうではない、代表ではないか。
子どもがなぜ、勉強するか、その立場に立って運営ができないかを質問しました。
・ 文化観光はイギリスの事例と共に
久能羽衣の道など民間による文化の磨き上げと、それを観光につなげる事業
について。
駿府城公園再整備時に駿府城再整備基金を活用して城址公園の整備と
駿府城再建について、質問しました。
双方、提案型の質問でしたが文化財関連では前向きな答弁も頂き、今後に
期待するところであります。
以下、本会議質問原稿一覧
平成26年2月議会 一般質問 原稿
世界に輝くという視点から、世界での施策も踏まえ今回は質問をさせていただきますが、市長の「まちづくりは人づくり」、都市の継続的な活力の維持・未来を切り開く為の人材教育が何よりも大事だと私も同感です。
また、当初から子育ての町としてブランディングに成功し若者が集まり、2050年、唯一静岡県内での人口増加をしていると予想される市町村の長泉町がありますが、
静岡市も人口増加策として若い世代に定住してもらうとするならば、若い世代の関心のある施策に力を入れるべきではないかと考え、大項目1のテーマを教育として、まず
①市長が考える静岡市の学校教育で大切にしなければならないことは何か
次に、平成25年度に行われた全国学力学習調査。静岡県で小学国語Aが最下位でしたが、静岡市も国語B、算数A、算数Bも全国平均以下の順位であるため、総合的な学力でいえば向上が必要であり、そこでこれまで力を入れてきた、
② 学力アップサポート事業、この事業を拡大すると聞いているが、その内容はどのようなものか。また、これまでの成果はどうか。
次に、子どもの発育にとって、学習だけでなく、どう心身の良育を育むか。
運動能力テストの結果等からも文部科学省は「こどもの体力が年々低下傾向にある事に対して懸念」とありますが、
③ 本市の子どもの体力の現状はどうか。また、課題となる種目の原因とその対策をどう考えているのか。
中項目、(3)世界の教育 国際バカロレア認定校について伺います。
日本におけるインターナショナルスクールの現状ですが、文部科学省、グローバル人材育成推進会議(H23.6.22)によれば日本再生のための戦略に向けて「平成27年度までに国際バカロレア資格取得可能な、またはそれに準じた教育を行う学校を200校」、拡大するとして文科省で予算が組まれています。
また、「国際バカロレアのカリキュラムは学習指導要領が目指す「生きる力」の育成の確実な習得に資する」と明記されました。
なお、2012年調べで国際バカロレア校は中国76校、香港49校、インド107校、インドネシア40校、オーストラリア151校とアジア・オセアニア地域で倍増していますが、
(3)① 世界から多くの人を呼び込む基盤づくりの手段として、国際バカロレア認定校についてどうとらえているか
次に大項目の2、世界から人を集める施策について
イギリスの文化財政策を参考に話を進めたいが
以前の議員研修会で講義をされた法政大学坂本教授によれば、
静岡市は人口減少、商業小売高増加率ワースト1位、農業、工業も先き行き厳しい現状であると指摘をされた。
そのような中で、唯一、政令市中10位以内に「文化財の活用の素養」があったのを覚えているだろうか。
では文化財の素養をどう活かすかだが、
英国貴族で小西美術工藝舎、日光に本社を構え日光・久能山東照宮等の修繕も請け負う文化財専門の会社の会長兼社長のデービッド・アトキンソンさんによれば、イギリスでは「文化財」に関する産業が4番目の産業の地位を占めるまでになったと述べている。
簡単にどのような事か説明すると、
産業革命後、イギリスでは1950年から1970年代にかけて景気が悪化し、13%を超える失業率、ポンド高、産業の空洞化となった、今の日本のような状況で、その当時のサッチャー政権は雇用対策として若者を雇って、国会議事堂の修復をした。
きれいになった国会議事堂に観光客が増え、入場料収入が増加、失業者も減って、治安も改善された。
その成功をきっかけに、隣のウェストミンスター寺院やセント・ポール大聖堂も直していき、イギリス全国の文化財に対して徹底的に投資をすることになった。
一見、偶然の政策ではあるが、現在のイギリスにおける文化財修復の経済効果は文化財に対して投資したイギリスの直接・関節的な経済効果は、日本円換算で2兆8840億円、全体で見るとイギリス経済の2.7%。
また、観光の90%は文化財をどこかで見るという調査結果があるので、観光業界まで含めるとイギリス経済の9.1%を占めることになる。
観光客が使うお金の36%が文化財に直接入り、64%がまわりの施設であるホテルやレストラン、カフェなどに入る。文化財にかかわる人々の数を見ていくと、修理を行う職人や管理者などが46万4000人。それ以外の関係者や観光にかかわる人々もいれると265万人になり、イギリスの労働者の約12%を占めるまでになった。これが4番目の地位を占める産業の経緯と内容です。
では、そのデイビッド・アトキンソンさんによれば日本の文化財の現状はというと
①まずボロボロである。
②職人文化があるが、十分な予算が出ているとは思えない。
(ちなみに国レベルで文化財に関する予算は日本はイギリスの10分の1以下。)
③一方で、それを増やす努力もほとんどしていない。
④また、観光に対する意識も低く、サービス精神がほぼゼロであると感じる。
⑤入口で拝観料を取って、写真を一枚撮って帰るだけ。滞在時間は1時間もないし、十分な説明もない
と散々。
イギリスはというと、生涯学習で有名な国だが訪れた先の文化財には専門家がいて、あらゆる質問に答えてくれる。イベントも定期的に 行い、普段は入れないようなところにも入れる。人を楽しませるというのが基本となる。
昔は、今の日本と同じようにイギリスでも専門家の力が強すぎて、そういうことができなかったが、人が訪れることによってお金が入り、悪くなった部分をまた直すことができ、そこに人が訪れる」と、言いかえれば、イギリスでは文化財を取り巻く好循環ができているのである。
静岡市もじり貧の数字を突き付けられて、一方で素養があるのならば、やるしかないと私は考えるが、
①そこで、イギリスの事例から文化財を産業に結びつける、文化財への支援には市民の理解も必要と考えるが、それら方策について伺いたい。
【2回目】
まず、教育に関する質問の2回目ですが、子ども体力、全国平均より0.11ポイントと静岡市は上回っているというが、ここ20年で全体的に10~15%体力が落ちているのであって低下傾向の中での話である。
それと市長がプロ野球チーム誘致を目指す上で、最も劣っているのがボールを投げる力というのは残念である。
ただ、公園では「ボールの使用禁止」とされ、昔ほど学校の校庭も放課後自由に使えない、ボールを投げるところがない、外で子どもが遊ぶ姿を見なくなってしまったのはゲームだけの問題ではないと思います。
子どもたちにとって外で遊ぶことができない現実があること、大人があまりに過保護になりすぎている事を考えなければいけない。
その上で、鳥取県では子どもの身体能力の低下を改善しようと、5年前よりニュージーランドから移住したニールさんの指導の元で全ての保育園、小学校で鳥取方式による芝生化の導入を実施している。
この鳥取方式は従来の芝生化に比べ、イニシャルコストは10分の1とのことであり、他方、駿河区の大里東小学校のように海岸に近く、風がつよい校庭では冬場に始終ホコリ対策で散水をしているが、鳥取方式の芝生の管理料のほうが安価になると見ています。このような安価で子どもの心身を育む施策として
④ 鳥取方式の芝生化について、静岡市はどのように取り入れているか。また、鳥取方式のメリット、デメリットをどのように考えているか。
次に、子どもの発育時に与える身体への影響について、子どもの健康問題で最近著しく増加しているのが「生活習憤病」。
今や 11 歳児の 10人に1人が肥満傾向にあり、肥満傾向児の数はこの25年間で約2倍に増え、今後もますますます増えていく可能性があるといわれています。
最近、教育委員会でも子どもの脳の発達や食生活の大切さを伝える「弁当の日」竹下和男さんを招いて勉強会を実施しているとも伺っていますが、
⑤ 学校給食における食育の推進について、どのように取り組んでいるか
学力の向上に関して、様々な事を実施している旨のご答弁を頂きましたが、私の教育の質問の肝でありますが、
世界と日本の教育の大きな違いとして、世界的に教育方針の一般概念として広がっている「teach less, learn more」の理論。
そもそもの根本は「子どもの探究心を呼び起こす教育」か、そうでないか。今の日本の暗記教育はそうではない、代表ではないか。
例えば、オランダの教育では小学生1年生が学校に行って今日一日何を勉強するかを決めさせる学校や、中学校では20歳になったときにどんな大人になっていたいか、そのために何の勉強が必要か、自ら考え学習する。
その結果、少ない時間でも必要性を理解した学習が身につくのであります。
また、インドではPCを用いて自ら調べて発表するスガタ・ミトラ氏の「自己学習にまつわる新しい試み」が世界的な注目を集めています。
日本でも江戸時代、寺子屋のお師匠さんは生徒一人ひとりに対して、将来の職業の為に一人ひとりの必要とする「学び」を、注意深く検討し、学ばせていたと伺っており、その教育レベルは世界一でありました。
近年では、日本は文部科学省の資料によればOECD加盟30国の中で「理科や数学の勉強が楽しいと思う生徒の割合」が最下位レベルで推移しており、技術を生業とする日本にとって大問題である。
本市でも、これまでの取り組みの結果として昨年の全国学力調査での本市、子どもたちへのアンケート結果の「自分によいところ、将来の夢があるか」の問いに4人にひとりがないと答えています。
要は教え込むというより、自ら学ぶ、何の為に勉強するのか、それが世界の教育にとって重要になっております。そこで、
① 子どもに学習へのやる気・興味を持たせる為に、静岡市ではどのような取り組みをしているか。伺います。
次に、外部人材の活用についてですが、先日も教員のハードワークの議論もなされました。
私も全て教員がおこなうことがいいとは思っていません。
一例として、教員に一般企業での経験がなくて就職や進路指導をどのようにおこなうのか。他にも、ダンスが小学校の科目に入った際に、中年の明らかに運動不足の教諭がダンス教室に通っている姿がテレビでも放映されました。
教員が多様な職務に追われる現状の問題点として、2点、
まずは、教員や学校の問題点は、「出来ないことを認めない」風潮にあるのではないか。ダンスの経験も進路指導での企業人経験も無いなら外部の人間にお願いすればよいのに、すべて学校でやるという「閉鎖性」がこの問題の根本にある。
そして、もう一点は予算である。
各学校が校長決済で外部の人件費等に仕える民間教育力活用制度の資金、一律、全学校年間29,000円。これではいい人材活用は見込めない。
また、教育費の問題は国レベルであり、2010年の日本のGDPに占める教育機関への公的支出の割合はOECD加盟国30カ国中、4年連続で最下位である。
教育は「将来・ひとづくりへの投資」である。
では、② 学校と社会との様々なかたちでの協力をすすめる上で、外部人材の活用が必要と思われるが、現状はどうか。
(予算から考えるに、ボランティアの体制での外部連携が主かも。)
次に、学校ごとの強みや特色を生かす教育について伺います。先日は会派の質問でコミュ二ティスクールの質問がありましたが、
民間人を活用した教育、島留学で一躍脚光を浴びて、人口増加が進んでいる海士町の事例も記憶に新しい。
静岡市内でも学校間格差の議論は避けられないと思うが、山間地や海沿いの生徒数が激減している学校でそれぞれが特色や強みを出せる学校経営が今、必要ではないか。
世界では公的であっても経営としての教育機関の概念も一般化してきている。そこで、欧米の学校と日本の学校の決定的な違いは、
1、学校の持つ予算が圧倒的に少ないこと
2、校長の任期が圧倒的に短いこと
3、教育委員会の権限が強すぎることではないだろうか。
国内でも全国の学校には研究校や指定校というかたちで委員会から支援を受けている学校も多数存在する。要は外に対してしっかりと「この学校は委員会としてこういう目的で個性を出すためにやっている」と説明できれば可能ではないか。
私は最終的には世界一の教育国であるオランダや欧州のように学区をなくし、希望する学校を親子が選び、家族の責任の元で教育を選択させる。
公立であってもいい学校・教育が残るという教育者側にも競い合いが必要ではないか。他都市とは違う、磨かれた教育に教育熱心な子を持つ家庭が魅力を感じ静岡市に住みたいとなるのではないか。
そこで、 ③ 地域の特色などを生かした学校経営をすすめていくことが大切であると考えるが、現在、どのような取り組みがなされているか。
次に、インターナショナルスクールの2回目ですが、
世界から人をというが、まず「単身赴任」という概念が希薄な欧米人は家族で日本に引っ越してきます。その際に子どもの教育機関として、万国共通のカリキュラムで英語授業を受けられる国際バカロレアの認定校は不可欠です。
最近になって長野県と愛知県にも認定希望校が出てきましたが、今は北信越まで含めた三重から静岡、山梨、福井、石川などの中部エリアに初等教育の認定校は名古屋インターナショナルスクールのみで東海・北信越エリアは国際教育の空白区域であります。
私は海外の企業を静岡に誘致するためには、国際バカロレア認定校の設立が最優先課題だと考えており、日本国内、および海外へ静岡の国際教育を発信していく場としても大変効果が高いと思っている。
また、潜在的に外国人は都内のうさぎ小屋よりも、距離があっても緑のある広い家を潜在的に好むため、都心周辺に勤務する大使館などの外国人家族に静岡へ住んでもらえる可能性も極めて大きい。
文科省の助成、オリンピック等の外的要因を鑑みても、ここ1、2年が勝負だと思うが、(3)② 国際バカロレア認定校の現状と課題についてどう考えるか。
次に、文化財政策についての2回目ですが、
地域資源の観光への活用について伺います。
ちなみに、日本の観光の現状を先に紹介させてもらうと、
日本への観光客は平成24年度に年間1,000万人を超えたが、シンガポールでは人口500万人で年間1400万、観光立国フランスは8000万人、アメリカは6000万人、中国は5500万人。
日本はタイや韓国にも劣るアジアで第10位。
世界で33位とかなりの観光後進国である。
今後、日本政府はオリンピックを契機に2020年には2000万人と目標設定をしているが、何せ、観光資源の活用・保全に注力して来なかった現状からも課題は多い。
では、国に先駆けて、イギリスのような文化財を観光資源として投資、磨き上げるという点で、市内の民間による事例を紹介したい。
この絵図をご覧下さい。たとえばみなさんのお手元にある「久能山由緒顕彰会」では久能山から三保、折戸をつなぐ「久能・羽衣の道」が提案されている。
久能街道は既にあります。「久能の道」という当初の案に対して、後藤会頭の「はごろも」を付けようという要望もあり「久能羽衣の道となった」伺いましたが、調査によれば清水区の鉄舟禅師の元の名はフダラクサン久能寺、その前は妙音寺であり、そこにも羽衣伝説があります。また、現久能街道の駿河区久能の西平松にも羽衣神社もあり、この清水区をもつなぐ「久能羽衣の道」は裏付けとしても間違いはないのではないかと思っております。
また、一昨日、答弁で「三保松原の来訪者の75%が市内の主な観光地に寄らずに帰っている」とありましたが、絵図にある、久能羽衣の道は合併した新静岡市をつなぐ市民の観光街道とでも言えるのではないでしょうか。
他にも今月には市役所裏の藤堂高虎屋敷跡で事業を行うコモテビルにて表玄関にタテヨコ2mの巨大なパネルを設置し、96ケ町の町並みと駿府の歴史を伝えるパネル展を連載で行って下さるとのことです。
② そこで、本市では寺社等の地域の文化的資源を磨きあげて観光に繋げることについてどのように進めるのか、伺いたい。
最後は、歴史文化資源の再建として、駿府城の再建ではないでしょうか。
一昨日、わが会派代表の天守台に関する質問に「顕彰四百年を契機として、課題を整理し、天守台の復元にスピード感持って対応する」とのご答弁を頂きました。
ただ、何事も予算がかかります。
駿府城の再建にかかる費用ですが、税収が逼迫する中で、熊本市、名古屋市等では再整備の為の基金条例を使用して本丸御殿の再建がおこなわれております。
静岡市にも、企業や個人はその基金にお金を支払った場合に損金扱い、税控除として受けられる「駿府城再建等駿府城公園再整備基金」が平成4年、今から22年前に市議会で条例制定されています。
なので、極端に云えば、税金を使わずに民間出資による再建は可能です。
300年先に残る駿府城を市民の手で作りあげる。
スペインのサクラダ・ファミリアも寄付上限が決まっていて集まった分だけ工事が進められ、建設中の様子も観光資源として活用されています。
再建について一言加えるなら、歴史は作るもので、1360年を経過する法隆寺も3~400年に一度、大規模な修繕を加え、ほぼ再建します。国内の国宝建造物も躯体がそのままのモノは久能山東照宮ぐらいです。
時間をかけて、世界で唯一、260年余の天下太平の世を築いた家康公の城を静岡市民と世界の平和のシンボルとして、「駿府城再建等駿府城公園再整備基金」条例を活用し、再建に向けて早期の決定を望んでいるところですが、
③ 現行の基金の現状と、基金の活かし方について伺います。
要望
○(オクシズ、シズマエもいいが、)本市をつなぐ観光街道として
「久能羽衣の道」をぜひ、推進させて欲しい
○ 景気雇用対策では、一過性ではなく、イギリスの事例を元に文化財、観光につなげる施策を考えて欲しい
○ 教育は何の為に勉強するか